身分の高い低いにかかわらず、老いたる者を見下げて軽んじてはならぬ。古語にいう。老いたる者は父母のごとく敬え。
家中の郎従に対して、慈悲の心が肝要である。家来の者が病気で苦しんでいる時は、たとえ手間がかかっても、心をこめて指図を加えてやりなさい。臣下の身を、自分がノドの渇きのように思うことだ。
我は屋形さま(信玄のこと)に厚恩を受ける者なので、屋形さまの大事の時は、真っ先に進んで討ち死にしよう。
父母には、いささかも不孝をしてはならぬ。兄弟に対してぞんざいな扱いはいけない。自分の力量が及ばないことは発言すべきではない。いかなる時も嘘偽りをいってはならない。他人を陥れるため、悪口をいう者を許してはならない。
戦場にあって敵と相対峙する時は、敵の防備がまだ不十分なところを狙え。そして古語に、敵によく勝つ者は型にはまった戦法をとらず、敵の虚を突いて制すとある。また敵にまっしぐらに突き進む我が家風は、敵に考える暇をあたえない。