主将が官吏を選ぶのは当たり前のこと。官吏も主将を選ぶものだ。隣国と戦い、日頃、官吏を大事にせず、庶民に慈悲を掛けなければ、人は他国に去って、明主・良将を求めて仕えてしまう。官吏を愛し、庶民を慈しむは主将の当然の務めである。
※北条氏康が息子の氏政に対して言った言葉
家の長臣に任せきりにせず、自ら動け。お前は富貴の家に生まれ、ぬくぬくと育ったから、世間に疎い。功を積んでも取り上げず、労をつくしても賞さなければ、皆は恨みを抱いて、人心は離れる。その時に戦いがあって、にわかに甘い言葉を掛けても、言うことは聞かない。だから少しの功も忘れず、小さな働きを見捨てず、時々に褒美を与えて、励まし進ませるようにせよ。
※北条氏康が息子の氏政に対して言った言葉
君としては万民を愛し、臣は君によく仕え、父としては子を憐れみ、子は親に考を尽くし、友は礼儀をもって交わりを睦まじくした。これ皆、智仁勇の内にあり。君臣合体すれば国家は安泰なり。
仏神を拝むことは自らの勤めであり、心を素直にまた柔和にもって、正直を憲法とし、上の者を敬い、下にいる者を憐れみ、有るものを有るとし、無いものは無いとする、ありのままの心持ちが、仏神の思し召しにかなうと思える。たとえ祈らなくても、この心持ちがあれば、神の加護はある。祈っても心が曲がっていれば、天道に見放されるので慎むべきである。
氏政が食事をするのを見るに、一飯に汁を二度かけて食べた。汁をかける見積もりもできず、二度かけるのは不器用だからだ。朝夕の食べることさえ、こうなのだから、一皮うちにある人の心腑(しんぷ)を見積もり、人の目利きをすることなどできぬであろう。
※北条氏康が息子の氏政に対して言った言葉
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