敵には強敵、大敵、若敵、小敵、弱敵の五種類がある。強敵とは勇猛で判断力優れた主君のもと、立派な家老がいて、忠誠心を抱く侍大将がいる敵。大敵とは大きい領地と多くの兵を持つ敵。若敵はまだ戦いに勝ったことのない力量の若い敵。小敵は領地も兵も少ない敵。弱敵は武勇も劣り、他国への攻めを考えない敵をいう。
敵と戦う時は、これをよく見極めて戦わなければならない。特に若敵と小敵には気をつけるべきで、若敵は意外に目を見張るような戦いをして、手強いことがある。また小敵も何を仕掛けてくるかわからないので、油断は禁物である。
大将たる者は、家臣に慈悲の心をもって接することが、最も重要である。
戦いは五分の勝ちをもって上となし、七分を中とし、十を下とす。
※戦勝は五分が一番良い。なぜなら次への励みになるからだ。七分の勝ちは怠りを生み、十の勝ちは驕りによっていずれ大敗に繋がってしまう。
晴信(信玄のこと)が定めや法度以下において、違反しているようなことがあったなれば、身分の高い低いを問わず、目安(投書)をもって申すべし。時と場合によって自らその覚悟をする。
※法を家臣や領民だけに押し付けるのではなく、国主である自分もまた、その束縛を受けることを、明文化して世間に告知した。
戦いは四十歳以前は勝つように、四十歳からは負けないようにすることだ。ただし二十歳前後は、自分より小身の敵に対して、負けなければよい。勝ちすぎてはならない。将来を第一に考えて、気長に対処することが肝要である。