値打ちがなければないほど自惚れが強く、かつ横柄であり、いよいよ尊大ぶり、ますます気取る。だが、大半の人間が痴愚心の奴隷であり、どうしても、いちばん悪いものが、いちばん多くの人々のお気に入りになってしまう。
※痴愚(ちぐ)=愚かなこと。また、その人。
自分たちに真実と思われる事柄をすべて馬鹿にし、これを虚妄だとしてしまうことも愚かな自惚れである。これは一般の人たちよりも、若干器量のある自信を持っている人々にありがちな悪弊である。
※悪弊(あくへい)=悪い習わし。悪習。悪風。
自惚れは苦しみの源泉である。自惚れが消えたときから、人生の幸福な時期が始まる。美しさが衰えかけたとはいえ、まだ相当きれいな婦人でも、己の自惚れによって不幸にもなるし、滑稽にもなる。
最も高い所にある人は、それだけはげしい危険にさらされることが多いが、それは過度の自信のせいである。
相互いに心を同じうし、高ぶりたる思いをなさず、反(かえ)って卑(ひく)きにつけ、汝ら己を聡(さと)しとなす。
新約聖書 《ロマ書一二章一六節》