主君の御尋ねの折には、直ちに参上せよ。虚病と偽るなどはもってのほかで、気ままな心持ちであってはならぬ。
すべての士に、身分の貴い、賤しいはない。主君となり、従者となって、互いに頼み合ってこそ、世は立つ習いである。だから、大事の時は身を捨てて忠義をなすのだ。汝らは我をば親と思われよ。我は汝らを子と思わん。
殿に遅れて死ぬのは悲しく、我が身の果てもみじめなので、一足お先に死ぬことにしました。
※病に倒れた徳川家康が医者にかかるのを拒んだため、家臣の本多重次はこう言い放ち退出した。重次の一本気な性格を知る家康は本気で事を起こすと感じ、治療を受けることにしたのである。
藩翰譜 / 本多重次
徳川の御家と盛衰安危をともにし、外に主を取らぬ筋目、寝ても覚めても忘れてはならぬ。また一度の不満に旧恩を忘れ、仮にも別心することは人の道ではない。
※子息、忠政への遺誡。
知行を得られる方法が五つあるが、これに心を用いて、知行を得てはならぬ。また知行を得られない方法も五つあるが、たとえ餓死するとも、こちらを心に留めるべきである。
※知行(ちぎょう)=俸禄、扶持。
三河物語 / 大久保彦左衛門