君に諌める臣なくば、すなわちその国必ず滅ぶなり。
酒船一艘失ったとて大したことではないが、指図を受ける手立てのない時、汝の一存で秀家公に酒一樽を贈ったとは、よく計らってくれた。もし汝が、われを憚って秀家公の所望する酒を惜しんでいれば、われは吝嗇(りんしょく)の汚名を残したであろう。
※これは指示を仰ぐ手立てのない状況のなかで、家臣が周囲の状況を見、主君の気持ちをおもんぱかって的確に判断したことを、福島正則が誉めた言葉。
吝嗇(りんしょく)=ひどく物惜しみをすること。
仁の心のある主君に、義をもって報じるのは臣下のとるべき道である。われは百年も長生きはできぬ。いま天下泰平の基礎はただこの一事にある。宗治が急ぎ腹を切って、和談を調(ととの)えたい。
備中兵乱記 / 清水宗治
我は屋形さま(信玄のこと)に厚恩を受ける者なので、屋形さまの大事の時は、真っ先に進んで討ち死にしよう。
感状というものは、別の主君に仕える時に役立つものでござる。某(それがし)の主君は家康公をおいて他にござらねば、感状などいり申さぬ。
※主君である徳川家康が感状を与えようとすると、こう言って受け取らなかった。
感状(かんじょう)=戦功のあった者に対して、主家や上官が与える賞状。中世では、多く知行(ちぎょう)を与える旨を記した書状をさした。